相談者7

死んだ父の相続のことで相談があるのですが・・・

司法書士

太郎さん、どうしましたか?

相談者7

父には財産と呼べるものはほとんど残っておらず、それどころか多額の借金があるのです。この借金は私が返済しなければならないのでしょうか?

司法書士

相続放棄を検討しましょう。相続放棄すればお父さんの借金をあなたが返済する必要はなくなります。

相続放棄するとどうなるの?

民法では、相続放棄の効力について以下のように定めています。

民法第939条(相続の放棄の効力)

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

つまり相続放棄をした者は、最初からいなかったものとみなされます。

その結果、マイナスの財産もプラスの財産も全て放棄することになります。

債権者からの取り立てに応じる必要はなくなりますが、被相続人に不動産や預貯金などのプラスの財産が残っていても相続できなくなります

マイナスの財産だけを放棄することはできないということに注意が必要です。

相続放棄ができる期間

相続放棄は

「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」

に家庭裁判所に申述しなければなりません。

この期間のことを「熟慮期間」といいます。

熟慮期間が定められているのは、いつまでも相続放棄がされるかされないかわからない状態が続き、他の相続人や相続債権者の立場が不安定なままになってしまうのを避けるためです。

とはいえ、3カ月では結論が出せないケースもあります。例えば、

 

・相続財産の内容が複雑である

・相続人が海外在住である

 

などの事情が考えられるでしょう。

このような場合は、家庭裁判所に申し出て期間を延長してもらうことができます。

また、すでに3か月を超えていても相続放棄ができる場合もあります(財産が全くないと信じていたが、あとから借金が判明したなど)。

このようなケースは、なるべく早く司法書士や弁護士などの専門家にご相談下さい。

相続財産を処分・消費してしまったら相続放棄できない

相続人が相続財産である預金を使い込んでしまったり、売却してしまったりした場合、原則として相続放棄はできなくなります。

※葬儀費用や病院代の支払いなど、相続財産からの支出が認められる例外もあります。

相続放棄をするつもりであれば、相続財産にむやみに手をつけることは避けてください。

相続放棄は、自分がすれば終わりとは限らない

相続放棄をした者は、最初からいなかったものとみなされますので、あなたが相続放棄をした場合、次の順位に相続権が移ることになります。

相続順位(法定相続人)は、民法で次のように定められています。

法定相続人

 

法定相続人とは、被相続人の配偶者と、下記の順位に従った被相続人の血族のことを言う。

 

〈常に相続人〉 

配偶者

〈血族相続人〉

第1順位 子(子が先または同時に死亡しているときは孫) 

第2順位 父母

第3順位 兄弟姉妹(兄弟姉妹が先または同時に死亡しているときは甥姪)

 

例えば、第1順位の子が相続放棄したのであれば、第2順位の父母が相続人となります。第2順位の父母も相続放棄をした場合あるいはすでに他界していたという場合、第3順位の兄弟姉妹が相続人となります。

被相続人に多額の借金があって相続放棄するケースなどでは、次順位以降の相続人も同様に相続放棄をする必要があると思われます。

事前に連絡をし、事情を説明したうえで相続放棄を促すといったことをするべきといえるでしょう。