こんにちは、相続に強い柏の司法書士です。

相続手続きにあたっては多くの場合、まず相続人を調べる(=戸籍を集める)という作業から入っていきます。

しかし「相続人を調べるといっても、具体的に何をすればよいかわからない」という方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

自分の住民票や印鑑証明をとったことくらいはあるにしても、戸籍謄本まで取り寄せた経験のある方は少ないでしょう。

また、住民票や印鑑証明なら最寄りの役所などで簡単にとれますが、戸籍謄本はさかのぼって集めていく必要があり日本全国遠方の役所にまで請求しなければならないケースが大半です。

そこで今回は、「相続人の調べ方(戸籍の集め方)」について2回に分けてお話していきたいと思います。

そもそも相続人調査って必要?

「いまさら調べなくても相続人が誰なのかくらいわかるよ」

こんなご意見もあるかもしれません。

たしかに、親兄弟などがお亡くなりになった場合、ふつう被相続人の家族構成くらいは把握できているものです。

しかし、思いもよらぬ相続人が判明するということが実際にあります。

例えば以下のようなケースです。

 

①亡くなった父親が実は再婚で、前妻との間に子どもがいた

②亡くなった父親が実は婚外子を認知していた

③自分は長男だと聞かされていたが、実は生後すぐに養子に出された兄がいた(実は自分は二男だった)

 

これらの事情は、被相続人から生前に聞かされていない場合、実際に戸籍謄本を集めて相続人調査をしてみるまで判明しません。このように、戸籍謄本を集めないかぎり、相続人を特定できたとは言えないのです。

一方で、相続の手続きには相続人が特定されていることを必要とするものが多々あります。例えば、

 

  • 遺産分割協議(相続人の一部が除外された遺産分割協議は無効)
  • 自筆証書遺言の検認申立(家庭裁判所への提出が求められる)
  • 相続税の基礎控除額計算(相続人の人数に応じて計算する)

 

などが挙げられます。

こういった理由から、相続手続きにあたっては、まず相続人を調べる(=戸籍を集める)という作業が必要になってくるのです。

Q&A 戸籍に関する前提知識

さて、具体的な戸籍の取り方についてお話していく前に、まず前提として知っておくべきことについて質問ごとに分けてご説明させていただきます。

戸籍ってなんですか?
日本国民についての身分に関する事項(出生・婚姻・離婚・親子関係・養子関係・死亡など)を証明するものです。日本国民についての記録になりますので、外国籍の方には日本の戸籍は存在しません。また、住民の居住関係を証明する住民票とは異なるものです。
戸籍ってどこで取るのですか?
本籍地の市区町村役場で取ります。 住所地(住民票のあるところ)とは必ずしも一致しないことに注意してください。
住所地とは離れた遠方の市区町村に本籍地が置かれていることもあります。
この場合、本籍地のある遠方の役所に戸籍の請求をかけなければなりません(※郵送での請求が可能です。各役所のホームページに郵送請求の方法が載っています)。
本籍地がわかりません
本籍地は、住所地とは異なります。実生活とは無関係の市区町村に置いてある場合も多く、自分の本籍地がわからないことがあります。
自分の本籍地がわからなければ、まず住民票をとります(住民票は住所地の市区町村役場で取れます。また、マイナンバーカードがあれば、コンビニで取れる場合もあります)。
このとき、住民票は本籍地の記載有で取るのを忘れないでください。
住民票から本籍地が明らかになれば、いよいよ戸籍の請求先が判明したことになります。
戸籍は誰でも取れるのですか?
いいえ。戸籍には、記載されている者の氏名・生年月日をはじめ、家族構成・婚姻・離婚・養子縁組などの個人情報が記載されています。従って、戸籍を請求できる方は戸籍法という法律に厳格に定められています。
原則としては、戸籍を請求できる方は戸籍に記載されている本人・その配偶者・直系尊属・直系卑属のみとされています。(直系尊属とは、親・祖父母などの直通の上の世代のことです。また、直系卑属とは子・孫などの直通の下の世代のことです)。
ただし、正当な理由が認められる場合は、上記以外の者でも戸籍を請求することができます。「相続手続きのため」はまさに正当な理由として認めらます。つまり、例えば結婚して別の戸籍になっているきょうだいの戸籍は、原則取得できないが、正当な理由(相続手続きのため)ならば取得できるということです。
戸籍には誰が載っているのですか?
戸籍の編製(つくられた)時期によって異なります。
現在の戸籍法においては、基本的に戸籍は「ひとつの夫婦とその子ども」という単位で編製されています。ある戸籍中の子どもが婚姻すれば、その子どもは別の戸籍をつくります。つまり、ひとつの戸籍に複数の夫婦が載ったり、3世代にわたる血縁関係が載ることはない仕組みになっています。
これに対し、戦後間もないころまで(旧戸籍法)の戸籍は、「家」という単位で戸籍が編製されています。「戸主」から始まる一族全員が記載されており、現在の戸籍に比べて、記載されている者の数がかなり多いのが特徴です。

ここまで戸籍について色々とご説明させていただきました。

実際に相続手続きにおいて戸籍を集めていく場合、被相続人からどこまでさかのぼって戸籍をとる必要があるのか、被相続人のきょうだい・甥姪の戸籍まで取る必要があるのかは、事例によって異なります。このあたりについては、次の記事で詳しくお話していきたいと思います。

相続人の調べ方(戸籍の集め方)②