こんにちは、相続に強い柏の司法書士です。

お亡くなりになった方(被相続人)が不動産を所有していた場合、その不動産も相続の対象となります。

「被相続人は、どこにどんな不動産を所有していたか?」

被相続人が遺言書や財産の目録などを残してくれていればいいのですが、なんの手掛かりも残っていないということも多々あります。

 

  • 自宅の土地建物

 

のほかに、

 

  • アパートなどの収益物件
  • 先代から引き継いだ田舎の土地
  • リゾート地に購入した別荘

 

などを所有している場合もあります。あるいは、

 

  • 相続税対策で生前購入した不動産

 

などもあるかもしれません。

このように、相続人が把握していない不動産を所有している場合もありますが、逆に

 

  • もともと所有していた不動産を、生前すでに売却・贈与等で手放していた

 

というケースも考えられます。

 

また、何代も続く地主さんの家柄ですと、

 

  • 100を超えるような数の土地建物を所有しているが、相続人も詳細がわからない

 

ということもあります。

今回の記事では、このように「被相続人が所有していた不動産がわからない」

場合の調べ方について、4つの方法をご紹介させていただきます。

方法① 固定資産税の納税通知書

まずは、「固定資産税の納税通知書」を探しましょう。

固定資産税とは

固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)現在の土地、家屋及び償却資産(これらを「固定資産」といいます。)の所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税額をその固定資産の所在する市町村が課税する税金です。  ただし、東京都23区内においては、特例で都が課税をすることになっています。

つまり不動産の所在地の市町村から、1月1日現在の不動産所有者に対して毎年課される税金です。

その年の固定資産税に関する税額や納付期限、課税対象となる不動産などを記載したものが「固定資産税の納税通知書」であり、毎年4月頃から6月頃にかけて、各市町村から不動産所有者に対して送付されます。

被相続人の所有していた不動産を確認するにあたっては、まず被相続人が残した郵便物の中から「固定資産税の納税通知書」を探しましょう。納税通知書に記載されている不動産は、その年の1月1日現在で被相続人が所有していた不動産とみることができます。

ただし、固定資産税の納税通知書だけでは把握できない不動産もあることに注意が必要です。

納税通知書では把握できないケース

課税されていない不動産

納税通知書は固定資産税の課税に関する通知書になりますので、固定資産税が課税されていない物件が記載されていないことがあります。課税されない物件としては、例えば次のようなものが挙げられます。

・公衆用道路

・公園、学校

・ごみ集積所

・免税点未満の不動産

(※ 免税点とは、同じ人がその市町村内に所有する土地、家屋のそれぞれの課税標準額の合計額が、次の金額に満たない場合に課税の対象としないことをいいます。
 土地 30万円
 家屋 20万円)

持分で共有している不動産

被相続人が他の人と持分で共有している不動産については、納税通知書に記載されない場合があります。

納税通知書は、課税台帳上の納税義務者に対する通知となりますので、納税義務者が他の共有者になっていれば、被相続人に対しては通知がなされていません。

建てたばかりの建物、壊したばかりの建物

納税通知書は、1月1日現在の所有者に対する通知になりますので、

例えば平成30年2月に新築した建物は同年4月以降に送られてくる平成30年度の固定資産税納税通知書には記載されません(固定資産税は翌年からの課税となります)。

反対に、平成30年2月に取り壊した建物は同年4月以降に送られてくる平成30年度の固定資産税納税通知書には記載されます(その年は固定資産税が課せられます)。

取得したばかりの不動産、手放したばかりの不動産

納税通知書は、1月1日現在の所有者に対する通知になりますので、

例えば平成30年2月に購入した不動産は同年4月以降に送られてくる平成30年度の固定資産税納税通知書には記載されません(正確に言いますと、1月1日現在の所有者であったその不動産の売主に対して固定資産税が課されますので、納税通知書は売主に対して送られます)。

反対に、平成30年2月に売却した不動産は同年4月以降に送られてくる平成30年度の固定資産税納税通知書には記載されます(売却していても、1月1日現在の所有者が当年度の固定資産税の納税義務者であるということです)。

課税されていなくても、相続手続きの対象です

上記のように固定資産税の課税がなされていない不動産に関しても、登記簿上の所有者が被相続人名義になっていれば相続手続きの対象となります。

遺産分割協議の対象にもなりますし、相続登記も申請する必要があります。

これらの不動産について相続手続きが漏れてしまいますと、将来の売却や次の世代の相続の際などに面倒が生じることになります

方法② 名寄帳(なよせちょう)

固定資産税の納税通知書が見つからない場合は、名寄帳を請求するという方法があります。

名寄帳とは、市町村ごとに毎年作成される固定資産課税台帳のことをいいます。

1月1日現在の固定資産の所有者別に作成されており、各市町村役場の資産税課・税務課といった窓口で取ることができます。

例えばAさんが甲市・乙市にそれぞれ複数の不動産を所有しているという場合、

甲市・乙市それぞれの資産税課に名寄帳の請求をします。

すると、

 

・Aさんが甲市に所有する不動産の一覧(=甲市発行の名寄帳)

・Aさんが乙市に所有する不動産の一覧(=乙市発行の名寄帳)

 

をそれぞれ取得することができるというわけです。

このように、納税通知書がみつからなくても名寄帳をとれば被相続人が所有していた不動産を明らかにすることができます。

名寄帳でフォローしきれないケース

名寄帳は、その市町村内の不動産を一覧で確認することができるとても便利な資料です。しかし、名寄帳での調査には次のような問題点もあります。

不動産の所在する市町村がわからないと請求できない

名寄帳は不動産の所在する市町村役場の資産税課に請求しますので、不動産がどこの市町村にあるのかはわかっている必要があります

被相続人が生前所有していた不動産でも、相続人がその存在を全く知らなかった場合などは名寄帳の請求のしようがありません。

逆に、不動産の所在はわかっているが詳細は不明(地主さんが多数の物件を所有しているケースなど)という場合は名寄帳が役に立ちます。

納税通知書と同様の問題点がある

名寄帳は固定資産の課税台帳ですので、先に挙げた「納税通知書では把握できないケース」と同様の問題点があります。

つまり、

 

・課税されていない不動産

・共有持分

・建てたばかりの建物、壊したばかりの建物

・取得したばかりの不動産、手放したばかりの不動産

 

といった点については、固定資産税の納税通知書と同様の問題点があるということに注意を要します。

方法③ 権利証(または登記識別情報通知)

権利証(または登記識別情報通知)とは、不動産の新たな所有者となった者に対する法務局からの交付書面(または通知)をいいます。

売買・相続・贈与等を原因として、新所有者への所有権移転登記が完了した際に交付されます。

(※従来は「権利証」と呼ばれていましたが、不動産登記法が改正され現在では「登記識別情報通知」に変わっています。)

権利証は、一般的にも重要な書類として認識されておりますので、被相続人の自宅内で大切な書類を保管する場所や、銀行の貸金庫などから出てくることが多いです。

権利証があるということは、被相続人がその不動産を取得していたということの証明になります。

ただしその後に不動産を手放したとしても権利証は手元に残りますので、権利証があるからといって被相続人が最後までその不動産を所有していたかどうかはわかりません。

方法④ 法務局で調べる

方法①②③で被相続人が所有していた不動産についておおむね把握ができましたら、最終的には法務局での不動産調査が必要になります。

法務局では様々な証明書が発行されますが、相続した不動産を調べるにあたっては次に挙げる2種類の証明書が役に立ちます。

不動産登記事項証明書

いわゆる「登記簿謄本」です。

不動産登記事項証明書には、不動産(土地・建物)についての所在・地目・地積、あるいは種類・構造・床面積といった情報から、その不動産の権利関係まで載ってきます。

現在の登記上の所有者名義が誰なのか、抵当権等の担保権がついていないか、といったことはすべて不動産登記事項証明書をとって確認することができます。

プラスα

登記事項証明書は、共同担保目録付きでとる

共同担保目録とは、抵当権者・根抵当権者(つまり債権者)が複数の不動産をまとめて担保にとっているときに作成される、担保に入っている不動産の目録です。

登記事項証明書の取得の際に共同担保目録付きでの請求にすると、登記事項証明書の末尾に共同担保目録が載ってきます。

共同担保目録には、通常所有者の他の不動産が載ってきますので、不動産を漏れなく確認するための手がかりとして役に立ちます。

ただし不動産を多数所有している場合や、所有者が借入を繰り返している場合などは共同担保目録のつけ方・見方に専門的な知識やコツがあったほうがよい場合もあります。

ちょっと難しいと感じられましたら、司法書士にご相談ください。

公図

公図とは、土地の地番・位置関係・境界・形状などが表された地図図面です。正確な地図とは異なりますが、不動産の周辺状況を確認することができます。

不動産登記事項証明書だけでなく、公図まで取得する理由は何か?

それは、前述したように固定資産税納税通知書や名寄帳ではフォローしきれない「課税されていない不動産」について漏れなく調べ上げるためです。

司法書士が公図をみますと、例えば次のような点がひっかかってきます

 

①自宅前の道路部分。細かく筆が分かれている・・・

②住宅エリアの一角のごく小さな土地・・・

 

こんなふうにひっかかった土地の登記事項証明書をとってみると、所有者として被相続人の名義が出てくることがあります。

それぞれ①は公衆用道路、②はゴミ捨て場という理由で、固定資産税が課されておらず納税通知書・名寄帳では把握できなかった。公図をとって念のため調べたら被相続人名義だった、というケースです。

普段見慣れない公図の見方となると、なかなか難しいと感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ご自分で調べられることろまでお調べになって、最後は司法書士に任せるというやり方でもよろしいと思います。

不動産の相続は漏れなく行いましょう

少し長くなりましたが、相続した不動産の調べ方についてご説明させていただきました。

相続手続きから漏れてしまった不動産は、そのままずっと放置という状態になりかねません。

いざ不動産を売却しようとしたら、または下の世代の相続手続きのときに調べなおしたら、昔の相続手続きで漏れた不動産がでてきた、ということになりますと面倒です。

相続手続きは時間がたてばたつほど、世代が変われば変わるほど難しくなっていきますので、その都度漏れなく手続きをしていくということが重要です。