「自分ひとりで遺言書を作りたい」

「平成30年の民法改正で自筆証書遺言について何がどう変わったのかを知りたい」

このような方はぜひこちらの記事をお読みください。

 

こんにちは、相続に強い柏の司法書士です。

 

いわゆる「終活のすすめ」がメディア等で取り上げられるようになって久しいですね。

昨今の核家族化に加え、生涯未婚・熟年離婚・子どものいない夫婦といった新しい家族関係の増加が影響しているのだろうと推測されます。

一口に終活といってもその内容は多岐にわたりますが、死後の財産の整理に関することでいえば、まずは「遺言書の作成」が挙げられるでしょう。

普通の方式で作成される遺言書は3種類あります。

なかでももっとも手軽で、費用もかからず心理的ハードルが低いのが「自筆証書遺言」です。

特に平成30年に民法が改正され、自筆証書遺言は従来よりも更に利用しやすく、有効活用されやすいものに変わっており注目が集まっています。

今回の記事では主に、

 

・自筆証書遺言の作成方法と注意点

・自筆証書遺言のメリット、デメリット

・平成30年民法改正で自筆証書遺言について変わった点

 

についてご説明していきたいと思います。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とはその名の通り、「自筆の遺言」です。

その全文・日付・氏名を自書し、押印しなければならないとされています。ただし平成30年の民法改正により、財産目録はワープロでの作成が可能となりました。

 

ポイント

・押印は、認印や拇印でもOK
(ただし後日の紛争防止の観点から、実印を押印しておくのが望ましいでしょう)
・証人は不要です

・加除その他の変更は、法律で決められた様式に従うこと※

(従わなければ変更は無効です)

 

※自筆証書遺言の修正は、以下のように法律で厳格に様式が定められています。間違えやすいので、書き損じ等があった場合には初めから書き直した方が無難です。

民法第968条第2項

自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印をおさなければ、その効力を生じない。

なお、「前項の目録」とあるのは、後述する「自書ではない財産目録」のことです。

自筆証書遺言のメリット・デメリット

メリット

自筆証書遺言は費用がかからず、遺言者がひとりで簡単に作成することができるところが最大の長所です。また、遺言書の内容や存在を秘密にできるところも大きなメリットと言えます。

デメリット

他方、デメリットとしては遺言書が紛失または発見されない恐れがある点が挙げられます。また偽造・変造される危険もあります。形式や文言に不備があると無効になる可能性があるところにも注意を要します。

平成30年の民法改正によって変わった点とは

自筆証書遺言は、「全文・日付・氏名を自書し、これに押印すること」が求められますが、このうち「全文」について平成30年の民法改正によって要件が緩和され、財産目録については自書が不要となりました。この改正は平成31年1月13日から施行されています。

財産目録は自書が不要となった

従来は財産目録についても自書が求められていたため、特に多岐にわたる財産を所有している場合、高齢の遺言者にとって大きな負担となっていました。

また、例えば不動産について遺言書で自書する場合、正しくは

・土地でいえば 所在・地目・地積

・建物でいえば 所在・家屋番号・種類・構造・床面積

といった記載を不動産の登記どおりに正確にするべきなのですが、これを正しくできていない自書がこれまで数多く見受けられました。

不動産の登記についてなじみのある人は少ないので、いわゆる住所(住居表示)で不動産を表現してしまうという誤りがとても多く、これが場合によっては死後の手続きに支障をきたすこともあったのです。

これらの点に関して、平成30年の民法改正により、自筆証書遺言のうち財産目録については自書が不要とされました。財産目録についてはパソコンでの作成や、相続財産を証する書面(不動産の登記事項証明書や、預貯金通帳の写し等)を添付する形も認められることになりました。

自筆証書遺言は、より利用しやすくなったといえるでしょう。

なお目録を自書しない場合、

「その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない」とされていることに注意が必要です。

また、自書でない目録に修正を加える場合は、従来の自筆証書遺言の修正と同じ形式を目録についても行えばよいとされています。

最後に

自筆証書遺言については、このように民法が改正されて要件が緩和されたことに加えて「法務局における遺言書の保管」という新しい制度がスタートすることが決まっています。

これまで利用の妨げとなってきた問題点が解消されてきており、自筆証書遺言は今後より一層の利用が見込まれるでしょう。

是非、自筆証書遺言の作成を検討なさってみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。