こんにちは、相続に強い柏の司法書士です。

 

私の自宅からそう遠くないところに豊四季台団地という大規模団地があります。

東京オリンピックの年(1964年)に建設されたもので、従来の建物はかなり老朽化しているのですが、現在建て替えと再開発の真っ最中です。エリア全体が生まれかわりつつあるところです。

先日、豊四季台団地の「おひとりさま」に関する記事を新聞でみつけました。

千葉県柏市の豊四季台団地。単身高齢者の増加に危機感を抱いた市は14年に見回りなどのサービス付き高齢者住宅に建て替え、医療・介護施設を集約した。住民は訪問サービスを受け、入院しても再び自宅に戻れる。学童保育などで高齢者が働き、支え合う仕組みを取り入れた。

この記事は単身高齢者(一人暮らしの高齢者)の急増化を特集したもので、問題に対する行政の取り組みの成功例として豊四季台団地を挙げていたのです。

確かに、豊四季台団地の中やその周辺のスーパーマーケットなどを見渡すと、本当に高齢者の方が多いんです。特におひとりで出歩いている姿をよく見かけます。

日本経済新聞の同じ記事によりますと、

最新の15年国勢調査によると、65歳以上の単身者は00年比9割増の593万人。長寿・未婚化の影響で00年時点の予測より5年ほど早い勢いで増え、一般世帯に占める割合は11.1%に達した。

この15年で高齢単身者はざっと2倍に増えたんですね

今後も単身高齢者、いわゆる「おひとりさま」の数は増加していくのでしょう。

おひとりさまは未婚に限りません。配偶者を先に亡くしておひとりさまになることもありますし、最近は熟年離婚も増加傾向にあるといいます。また子どもがいても離れて暮らしていれば、おひとりさまということになります。

私も仕事柄、単身のお年寄りからのご依頼をいただくことも多くあります。

特に死後の財産の行き先というところで色々とご質問をいただくことがあります。

今回は「おひとりさまと相続」と題しまして、その辺のところをお話していきたいと思います。

おひとりさまの財産の行方

おひとりさまが最期を迎えたとき、その財産の行方はどうなるのでしょうか。

 

国にとられる?

親戚が相続する?

お世話になった人にあげることはできないの?

世の中の役に立つような形の寄附は?

 

せっかく残した財産です。お気持ちは人それぞれだとは思いますが、できるだけ自分の望むような形を実現したいですよね

ここではケースにわけて、財産の行き先がどうなるかについて考えてみましょう。

子どものいるおひとりさま

おひとりで暮らしているお年寄りでも、子どもがいれば当然ながら相続人になります。配偶者はいないという前提でお話していますから、子どもが全ての遺産を相続することになります。

しかし、お世話になった人や世の中の役に立つような団体などへの贈与・寄付など、遺産を子ども以外に残すということも可能です。

この場合、遺言書にその旨を明記しておく必要があります。

子どもには遺産の2分の1を取得する権利(遺留分)が認められていますので、全額の寄付は実現しない場合もありますが、少なくとも財産の2分の1は自分の好きなところにのこすことができます。

子どものいないおひとりさま

相続人がいる場合

子どもがいない場合、父母が健在であれば父母が相続人になります。

父母が先に亡くなっていれば兄弟姉妹が相続人になり、兄弟姉妹も先に亡くなっていれば甥姪が相続人ということになります。

兄弟姉妹や甥姪ともなると疎遠になっている場合も多く、必ずしも自分の財産を相続させる気持ちにならないかもしれませんね。

この場合も、お世話になった人や世の中の役に立つような団体などへの贈与・寄付など、遺産を相続人以外にのこすことは可能です。やはり、遺言書でその旨を明記する必要があります。

子どもと異なり兄弟姉妹や甥姪には遺留分がありませんので、遺産の全額を好きなように処分することができます。(父母には遺産の3分の1の遺留分があります)。

相続人がいない場合

もしも父母・兄弟姉妹・甥姪もいなければ、相続人がいないということになります。

相続人がいない場合、「相続人不存在」として扱われ、残された財産は所定の手続きを経たうえで最終的に国庫に帰属するのが原則です。

 

「何に使われるかもわからない国庫に帰属されるのはイヤだ」

「自分の望むような形で財産を贈与・寄付したい」

 

というお気持ちがあれば遺言書の作成が必要になります

おひとりさまの遺言の注意点

法律で決められている要件を守る

これはとくに自筆証書遺言を作成する際に注意すべき点になります。

自筆証書遺言とは、遺言者本人が自書で作成し、自身で保管する遺言です。

 

・遺言の内容を秘密にできる

・一人で作成することができる

・費用がかからない

 

といった手軽さが魅力ですが、反面、法律で定められている要件をみたさず遺言書が無効になってしまうリスクがあります。

せっかく作った遺言書が無効になってしまっては残念です。自筆証書遺言の作成にあたっては、司法書士のような専門家へのご相談をおすすめいたします。

寄附先には事前確認を

遺言による寄附は、「遺贈」という法律行為になります。

これは遺贈する側(遺言者)の意思表示と、遺贈を受ける側(寄附先)の意思表示との両方があってはじめて成立するものです。

遺言者が一方的に寄附の旨を遺言書に明記しても、寄附先が受け入れられる内容でなければ拒絶されてしまいます。

寄附を集めている公共事業や公益法人は、たとえば

 

・不動産や有価証券の寄附はできない

・遺留分を侵害した寄附は受けない

・包括遺贈(遺産全体に対する割合・もしくは遺産全体の遺贈)は受けない

 

などの条件を提示していることがよく見受けられます。

遺言書を作成する前には、寄附先との打ち合わせが必要です。

遺言執行者を指定しておく

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために死後任務を遂行してくれる人のことで、生前に遺言書で指定しておくことができます。

事前に信頼のできる遺言執行者を指定しておくことで、お世話になった人への遺贈や、公共事業・公益法人への寄附などをスムーズに実現することができます。

遺言執行者には遺贈を受ける知人などをそのまま指定することも可能ですが、司法書士等の専門家を指定することもできます。複雑な手続きを伴うようであれば専門家に依頼するほうがよろしいでしょう。

実際は、遺言書作成の段階で相談を受ける司法書士等が、そのまま遺言書で遺言執行者に指定されるケースが多く見受けられます。

最後に

おひとりさまは今後もますます増えていき、ひとつのライフスタイルとして定着していくに違いありません。

社会もそれに対応する形で、地域をあげてサポートしていく体制を今後整えていくでしょう。豊四季台団地の試みがどんな風に成果をあげていくのかも、私は身近なところから見守っていきたいと思っています。

地域のサポートや高齢者同士のつながりがちゃんと実現すれば、おひとりさまは楽しいライフスタイルになるかもしれませんね。

ゆったりとお友達と過ごし、趣味を楽しみ、四季を味わい、教養を深めていくおひとりさまの日々はなかなかに味わい深いものでしょう。

安心して日々を過ごしていただくためにも、死後の財産の心配事などはなるべく早く解消してしまいましょう。まさに備えあれば憂いなし、です。

ご不明な点がありましたらお気軽にご相談ください。我々司法書士は、そのために日々勉強し、業務に臨んでおります。