相談者9

先日亡くなった主人の遺品を整理していたら遺言書が何通も出てきました。これはどう扱えばよいのでしょうか?

司法書士

複数の遺言書がある場合は、作成日付の前後や、内容に矛盾がないかといったところがポイントとなります。

 

こんにちは、相続に強い柏の司法書士です。

 

遺言書は、1通とはかぎりません。

まず不動産についてのみ遺言書を作っておき、あとから預貯金についての遺言書を作るケースもあります。

また、相続人ごとに分けて遺言書が作られているということもあり得ます。

あるいは、遺言書を作り直した際に、前の遺言書は破棄しなかったというケースもあるでしょう。

複数の遺言書が出てきた場合、どの遺言書に従えばよいのでしょうか。

この点について民法では次のように定めています。

民法第1023条(前の遺言と後の遺言との抵触等)

第1項 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

「抵触(ていしょく)」とは、内容がお互いに矛盾することをいいます。

つまり、複数の遺言書がありその内容に矛盾があれば、前の遺言書については矛盾する部分の内容が取り消されてしまうのです。

例えば、こういうことです。

 

遺言書①

遺言書

第1条 A土地は、長男 甲野太郎 に相続させる。

第2条 第1条記載の財産以外のすべての財産は、長男 甲野太郎 と 二男 甲野二郎 に各2分の1ずつの割合で相続させる。

               平成20年1月1日 甲野大吉 印

遺言書②

遺言書

第1条 A土地は、二男 甲野二郎 に相続させる。

第2条 第1条記載の財産以外のすべての財産は、長男 甲野太郎 と 二男 甲野二郎 に各2分の1ずつの割合で相続させる。

               平成25年1月1日 甲野大吉 印

 

このような2通の遺言書が出てきたとします。

2通の遺言書は、A土地の相続のさせ方(第1条)について内容が抵触しています。

このとき遺言者は、後に書いた遺言書②で、A土地の相続のさせ方について遺言書①を撤回したとみなす、というのが民法の決まりです。

つまりA土地については遺言書②に従い、二男 甲野二郎 が相続することになります。

仮に、前の遺言書と後の遺言書で遺言書の方式が変わっていたとしても、問題はありません。

例えば遺言書①が公正証書遺言で作成されていて、遺言書②が自筆証書遺言で作成されていたとしても、後から作った自筆証書遺言の内容が優先されます(もちろん、自筆証書遺言が有効なものであることが前提です)。

なお、A土地以外の財産について定めた遺言書第2条については、2通の遺言書の間に矛盾はありません。従って遺言書通りに長男 甲野太郎 と 二男 甲野二郎 が各2分の1ずつの割合で相続することになります。