相談者2

先日、遺言書を書きました。誰にも見つからないように仏壇の後ろに隠してあるから安心です。

司法書士

それ、死後誰かがみつけてくれますか?あまり厳重に保管しすぎるのも善し悪しですよ。

こんにちは、相続に強い柏の司法書士です。

 

自筆証書遺言(遺言者が自署した遺言書)は手軽に作成できる反面、保管の仕方が悩ましいですよね。

 

「あまりおおっぴらだと、誰かに偽造されたり、捨てられたりするかも。」

「かといって秘密にしすぎると、死後誰にも発見されないかもしれない。」

 

こんな風にお悩みではないですか?

せっかく考えて作った遺言書です。それが誰にも発見されなかったり、偽造だ変造だの騒ぎになったりで、結局相続人同士が争いをはじめるようでは悔やんでも悔やみきれませんね。

この記事を読めば、隠し方のお悩みは解消しますよ。

(これまでは)自筆証書遺言は、保管が難しい

自筆証書遺言は、作成の方式については法律で厳格に定めがあるのですが、保管方法についてはなんの決まりもありません。

 

相談者1

とりあえず、へそくりと一緒に額縁の裏へ。

という方もいるかもしれませんね。

ポイント

 

自筆証書遺言の保管は、次の2つの課題を同時にクリアしなければなりません。

①生前は、他人の手にかからないように安全に管理する。

②死後は、相続人や受遺者がすぐに手続きに入れるように計らう。

 

それでは具体的に、どのように保管すべきかお伝えいたしましょう。

自分で保管する場合

死後に速やかに発見されることが重要ですので、遺言書の存在は必ず相続人や受遺者に知らせておくか、メモ等で残しておきましょう

管理のしやすさの観点から言っても、封筒には入れておくべきです。ですが、封筒に封印までするかは状況によって判断した方がよろしいでしょう。

秘密保持や偽造防止の観点からは、是非封印をするべきです。

ですが、

封印がかえってマイナスに作用する可能性もあります。

封印された遺言書は、家庭裁判所での検認期日まで開封できないことになっていますので、

「全財産を愛人に遺贈する。」

「全財産は長男に相続させる。二男には一切相続させない。」

みたいな衝撃的な内容だったらどうしよう・・・

と相続人が勘繰り、逆に遺言書に危害を加えかねない、ということも考えなければなりません。

いずれにせよ、発見した人が間違えて捨てたりしないように、封筒の表書きには「遺言書」と明記しましょう

また、封筒の表面でも裏面でもいいのですが「家庭裁判所の検認手続きを受けること」と書き記します。封印してある場合には、封筒の封じ目にも押印したうえで「開封厳禁」の文言も忘れずに書いてください。

第三者に保管を依頼する場合

第三者に保管を依頼する場合には、相続において利害関係のない立場の人に預けるということが大切です。遺言執行者や、司法書士・弁護士などの専門家・信頼できる友人(若い方がよい)などが考えられます。

また、遺言書を保管している第三者に、遺言者が死亡した事実が速やかに伝わらなくてはなりませんので、あらかじめ相続人などに対して、遺言書の保管者に連絡をするように指示を伝えておきましょう。

また、銀行の貸金庫に預けるという方法も考えられますが、この場合もそのことを相続人らに対して事前に知らせておく必要があります。

(新制度)2020年7月10日から、自筆証書遺言は法務局で保管できるようになる

2018年7月、「法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)」が成立しました。2020年7月10日から施行されます。

この制度により、自筆証書遺言の保管を法務局に申し出ることができるようになりました。この制度のメリットは、主に以下の点にあります。

①遺言書の方式に不備がないか、法務局が確認してくれる

②遺言書が偽造・変造・破棄・隠匿されるおそれがない

③法務局に保管されている遺言書は、家庭裁判所の検認手続きが不要

④死後、相続人等は法務局に対して自分が相続人等に該当する遺言書の有無を確認できる

自筆証書遺言の保管に関するデメリットは、この新制度によって大幅に解消されたといっていいでしょう。

法務局における自筆証書遺言の保管制度については、また別の記事で詳しく解説させていただきます。

公正証書遺言の保管はどうなるの?

公正証書遺言の場合は、通常、原本・正本・謄本の3通が作成され、原本は公証役場で保管されます。したがって、偽造や紛失といった心配は公正証書遺言に関してはほぼないと言えます。

また、遺言者の死後、相続人等は公証役場に対して公正証書遺言の有無について照会をかけることができるようになっています。

まとめ

自筆証書遺言は、自分で保管するにせよ第三者に依頼するにせよ、現行の制度では保管の仕方に難しい点があるのは確かです。

その点、公正証書遺言の方が保管上の安全面・死後の発見されないリスクの回避の面などからいって望ましいと言えます。

しかし、自筆証書遺言も従来の欠点をカバーする形で2020年7月10日から新制度がスタートします。この新制度を使えば、保管の面においては、自筆証書遺言も公正証書遺言にそん色ないと言えるでしょう。新制度施行後は、是非積極的に利用していただきたいと思います。