「仲の良い夫婦」「子どものいない夫婦」「同性のカップル」のあなたには特に読んでいただきたい記事です。

 

こんにちは、相続に強い柏の司法書士です。

 

仕事柄、さまざまな遺言書を目にする機会があります。

なかには、想いのこもった自筆証書遺言が、方式の面に問題があり無効になってしまったり、内容に問題があり遺言書通りの財産分けができなかったりといった悔やまれるケースもあります。

いわば「遺言の落とし穴」です。

遺言の作成を検討していらっしゃるあなたに、そんな「遺言の落とし穴」を回避していただくためにこの記事を書いています。

今回は、「連名の遺言は無効(共同遺言の禁止)」についてです。

連名の遺言(共同遺言)とは

連名の遺言(共同遺言)とは、「二人以上の者が同一の遺言書で作成した遺言」のことをいいます。特にご夫婦に多く見受けられます。

例えば、

遺言書

第一条 私甲野太郎が死亡したときは、私の全財産を妻甲野花子に相続させる。

第二条 私甲野花子が死亡したときは、私の全財産を夫甲野太郎に相続させる。

平成31年1月1日

夫 甲野太郎 印

妻 甲野花子 印

といった遺言書です。

せっかくの遺言が無効になる

仲の良い夫婦ほど、お互いの財産の行き先を一緒に話し合って連名で遺言を作ってしまいがちです。話し合うこと自体はとてもいいことなのですが、遺言書自体は必ず夫婦それぞれ別々に作ってください

連名で作ってしまった遺言は、法律上無効とされています(民法第975条)。

無効とされる理由は、次のような点にあるとされています。

①遺言書を共同で作ってしまうと、一方が他方に遠慮するなどし、真に自由な意思に基づいて遺言書を作ることができない。

②遺言書を共同で作ってしまうと、一方が後日遺言を撤回・書換をしたいと思っても、他方に影響され自由にできない。

子どものいない夫婦、同性パートナーは特に要注意

子どものいない夫婦にとって、遺言書はとりわけ重要です。

遺言書がない場合、残された配偶者は、死亡した配偶者の父母または兄弟姉妹・甥姪と遺産分割協議をしなければなりません。これは残された配偶者にとっては大変な負担です。

配偶者のためを思って作ったせっかくの遺言書が無効になってしまっては、悔やんでも悔やみきれません。

遺言書が重要という点では同性パートナーも同様です。

同性パートナーの場合、養子縁組をしない限り、現時点の取扱いとして相続手続きにおける親族関係は認められません。自分の死後、パートナーに財産を残したいと考えた場合、遺言もしくは死因贈与契約によるしかありません。

昨今多くの自治体で発行している「パートナーシップ宣誓書」の書式は、パートナーが連名で宣誓する文面になっているようですが、遺言書の方式はこれとは別に考えなくてはなりませんので要注意です。